このオンライン署名に賛同をお願いします!「董郁玉氏の実刑判決に対する日本からの緊急メッセージ」 https://t.co/RTsPgmoz48 @change_jpより
2024年11月29日、中国北京市第二中級人民法院が中国人董郁玉氏に対し、懲役7年の実刑判決を言い渡しました。私たちは、このことを深く憂慮するとともに、中国政府と関係機関に対し抗議し、同氏の無罪釈放を強く求めます。
共産党系日刊紙『光明日報』の記者として長年活躍し、論説部副主任まで務めた董氏は、傑出した記者かつ言論人であり、何よりもより良き中国を願う愛国知識人です。彼は2006年から2007年にかけて、ニーマンフェローとして米国ハーバード大学に招聘されました。2010年には日本の慶応義塾大学で客員研究員、2014年には北海道大学で客員教授を務めています。
董氏は1998年、司法の独立に関するエッセイを収録した『Political China: Facing an Era of Choices for a New System』を共同編集しました。彼はまた、ニューヨークタイムズの中国語版ウェブサイトにコラムも執筆していました。そのコラムの中の一つで、中国のインターネット空間で今も出回っているエッセイ「息子を米国に留学させたい」や、別のエッセイ「国家政治の観点から見た文化大革命」によって、董氏には「反愛国主義者」や「反社会主義者」のレッテルを貼られてしまいました。董氏は関係当局に調査されることとなり、執筆活動を減らしたようですが、2018年に再び、地方政府関係者を批判する記事を執筆し、話題となりました。
本メッセージの発起人の中には董氏と交流があり、同氏が北京大学在学中から交流を保っている者もいます。彼ら/彼女らは、董氏との知的交流を通じ、実像により近い中国の姿を理解することができたと確信しています。董氏はこれを基礎として、草の根レベルでの日中交流の拡大にも努めてきました。2012年以降、中国政府は「国家安全」の名の下に、異論者への取り締まりを強化してきましたが、このようなやり方は、中国自身にとってメリットにならないばかりか、逆に中国の名を貶めるものだと考えます。
中国政府は、人権活動家や彼ら/彼女らを支援する弁護士など自国民に対する取り締まりを強化していますが、これは、過去30年にわたって歩んできた改革開放政策の道を外れるものです。中国が今日、世界第二の経済大国となり、国際社会における地位を高めてきたのは、まさにこの改革開放政策によるものです。圧倒的多数の中国の人々はこの政策を支持し、自国政府に誇りを持ってきました。言論活動に対する中国政府の近年の厳しさは、こうした成果を、大衆の支持を自ら否定しているかのように、あたかも自信のなさを表明しているかのように思えてなりません。
中国に駐在・滞在する外国人に対する監視も同様に厳しさを増しています。とりわけ、2014年の反スパイ法施行以降、日本人に限っても17名がスパイ容疑で拘束、逮捕されています。日本で長年働いてきた中国人も帰国時に逮捕され、行方不明になっています。我々は、彼ら/彼女らは決してスパイなどではないと信ずるものですが、深刻なのは、「スパイ」の定義が曖昧で、その「容疑」が明らかにされないことです。
中国政府は、11月30日より、日本人の短期中国滞在ビザの免除処置を復活しました。我々は、これを歓迎するものです。しかし、「スパイ」の定義が曖昧で、スパイ容疑の事由が開示されないという状況で、少なからぬ人々が中国訪問に二の足を踏んでいることも否定できません。中国外交が掲げる「寛容さ」を今こそ是非示して欲しいと考えます。
董氏は2022年2月21日に北京のホテルで日本の外交官と昼食をとっていたところ、突然連行されました。この外交官も短期間拘束されており、日本政府は厳重に抗議しています。そして、董氏のご家族によると、今回口頭で言い渡された判決では、日本人外交官8名の名前があげられたようです。この8名の外交官及び元外交官は、既に中国政府によって、いわば共犯者と認定されたと言えるでしょう。
これは外交の否定です。外交官がお互いの任地で研究者やメディア関係者と意見交換を行うことは職務の一環です。私たちは、今回の董氏への有罪判決によって、中国と海外の国民、ジャーナリスト、学者が互いに接触することを恐れるような萎縮効果を生み出してはならないと考えます。
董郁玉氏は、スパイなどでは決してなく、祖国中国のより良き未来を願い、考える愛国主義者です。董郁玉氏は、独立した批判的精神を持ち、ジャーナリストとして信じる道を歩もうとしてきました。私たちは中国政府が中国の憲法と国際人権法で保障されている表現の自由の権利を保障し、董郁玉氏を釈放することを強く求めます。
2024年12月3日
董郁玉氏の無罪釈放を求める者一同
発起人 阿古智子、諏訪一幸、遠藤乾